CMSとは?

CMSとはコンテンツ管理システム(Content Management System)、つまりコンテンツ管理を支援するシステムです

「コンテンツ、管理、システム」。個々の単語の意味は簡単ですが、用語としてひとまとめにすると、特別な意味を帯びます。 

たくさんのアイテムをコレクションしていると、特定のアイテムを見つけるのが難しくなることがあります。そのような場合は、コレクションを整理するシステムがあると便利です。たとえば、「コンテンツ」をアルファベット順や時系列に並べ替えると、目的のコンテンツを見つけやすくなり、効果的に管理できるようになります。 

What is a CMS?

ただし、それは「コンテンツ」の単なる「管理システム」です。「コンテンツ管理システム」や「CMS」とは異なります。 

特にCMSは、企業がウェブページやドキュメント、画像、動画などのデジタルコンテンツの管理に使用するソフトウェアシステムまたはプラットフォームを指します。企業は、数万ものデジタルコンテンツを所有している場合があり、それを整理してアクセスしやすくする必要があります。 

このようなコンテンツをシステムでまとめると、ニーズに応じて管理できるようになります。たとえば、ユーザーに付与するコンテンツのアクセス権の管理や、コンテンツの表示場所の決定、コンテンツの最終更新日時の確認などが可能になります。

CMSの使用目的は? 

企業は、主に次の3つの目的でCMSを使用します。 

  1. ウェブサイトやモバイルアプリなどのデジタルチャネルに加え、店舗内のディスプレイや機内のフライトエンターテイメントシステムなどにも配信するコンテンツを作成、編集、管理する。
  2. イントラネットやナレッジハブを介したコンテンツの作成、編集、共同作業、共有を可能にし、社員の作業の効率化や、チーム、部門、または組織全体での知識の共有を実現する。
  3. すべての関係者がエクストラネットやポータルを介してコンテンツに簡単にアクセスできるようにし、パートナーなどの社外関係者との作業を効率化する。 

あまり知られていませんが、CMSは今日の企業において基本的な役割を果たします。デジタル経済も「在宅勤務」も、CMSがなくては効果的に機能しないでしょう。CMSは、企業のコンテンツ制作と配信に関わるプロセスの効率化や自動化をサポートします。これにより、社員の作業効率が大幅に向上し、顧客はより優れたオンライン体験を満喫できるようになります。

種類によって異なるCMS

初のCMSとして広く認知されているのは、1990年代初頭に登場したIBMのFileNetシステムです。以降、多くの企業が市場向けCMSを開発してきました。 

長年にわたり、さまざまな種類のCMSが開発されてきましたが、目的(ユースケース)、アーキテクチャ、ライセンスモデルがそれぞれ異なります。 

主な違いを以下にまとめました。

ウェブコンテンツ管理(WCM)
vs
コンポーネントコンテンツ管理システム(CCMS) 

  • ウェブCMSを使用すると、ウェブページを作成・編集・管理できます。ウェブページは当初、外部向けウェブサイトに表示されるHTMLページでしたが、すぐにイントラネット上の社内ユーザー向けページにも使用されるようになりました。このようなシステムの軸は「ページ」であり、ページ全体の編集が可能でした。ただし、このモデルでは、たとえば特定の情報をウェブサイトの2つの領域に表示する必要がある場合、コンテンツのコピー/複製につながるため、厳しい制限を課せられます。現在の改良されたウェブCMSでは、コンテンツを再利用可能なアイテムとして処理できます。同じコンテンツを何度もコピーしなくてもさまざまな場所に表示できるようになっているのです。
Web CMS
  • CCMSは、これまで印刷物やPDFで公開されていた製品テクニカル情報(ユーザーマニュアルなど)のような高度にコンポーネント化されたコンテンツを管理するために使用されます。コンテンツの「コンポーネント」を使用する大きな目的は、コンテンツの再利用です。たとえば、機器のモデルAに代わってモデルBが登場する場合、変更が必要なコンテンツはごく一部です。大半は複製することなく再利用できます。モデルAのマニュアルが2,000段落で構成されていて、10段落のみを編集すればモデルBの新しいマニュアルとして再公開できるとすると、残り1,990段落はすばやく簡単に再利用できるというわけです。

    最近のCCMSのユースケースは、印刷物やPDFにとどまりません。このようなテクニカル情報も大容量のPDFとしてではなく、単独のウェブページや抜粋としてオンラインで公開したいと考える企業が多いためです。また、CCMSは、テクニカルドキュメントだけでなく、ポリシー、手順、ガイドラインの管理などを目的とし、テクノロジー業界以外でも広く使用されるようになってきました。

CCMS

このように、両方のシステムに長所があるため、ウェブCMSをマーケティングに、CCMSをテクニカルドキュメントに使用する企業も珍しくありません。
 

市販のCMS vs オープンソースのCMS 

  • 市販のCMSは、ベンダーから購入します。ライセンス(永久ライセンスや期間限定ライセンス)の購入またはサブスクリプションモデルのいずれかで提供されています。ソフトウェアの構築と保守はベンダーが行うため、問題が発生した場合はサポートデスクに連絡することになります。その後、優先度に応じて、合意した期間内に修正されます。
Commercial CMS
  • オープンソースのCMSとは、「無料」のCMS製品です。ソフトウェアをダウンロードしたら、ライセンス料を支払うことなく使用できます。ソフトウェアの構築と保守は、開発者のコミュニティが行います。もちろん無料で利用できるのはすばらしいのですが、導入と保守には技術的なスキル(IT担当者)が必要です。また、ソフトウェアが個々の状況に対応可能だという保証もありません。不具合が発生したら、コミュニティや自社のIT担当者に問題を解決してもらう必要があります。

    このモデルは進化しているため、サービスプロバイダを通じて使用できるオープンソース製品もいくつかあります。その場合は、管理対象となっているバージョンのCMSが提供され、サービスレベル契約も交わされます。
Open Source CMS

ヘッドレスCMS vs ヘッドオンCMS 

「ヘッドレスCMS」という用語をよく耳にすると思いますが、このアイデアは目新しいものではありません。実際、2000年代初頭からある多くのCMSは、すでに「ヘッドレス」でした。 

では、「ヘッドレス」CMSとは何でしょうか? 

「ヘッド」とは、CMSの最上部で実行されるウェブサイト(または、ウェブアプリケーション)です。したがって、プレゼンテーション層としてのウェブサイトが「ヘッドレス」CMSにはなく、「ヘッドオン」CMSにはあるということです。「ヘッドレス」CMSでは、主にAPI(多くの場合、JSON形式)を使用してコンテンツを配信するのに対し、「ヘッドオン」CMSでは、HTMLページを通じてウェブサイトに直接配信します。

いずれのアプローチにもメリットとデメリットがあります。たとえば、ヘッドオンCMSではウェブページをコンテキストに沿って編集できます。ヘッドレスCMSではさまざまな形式のコンテンツをさまざまなデバイスに配信できます。このため昨今では、両アプローチのメリットを融合したハイブリッドCMSが登場しています。

Headless vs Head-on

コンテンツ管理におけるAI

コンテンツ管理では、2つの重要な機能に人工知能(AI)が使用されています。

  • AIによるパーソナライゼーション:これは、ウェブCMSテクノロジーの重要な機能です。コンテンツを閲覧者に合わせて調整するため、AIが採用されるようになりました。CMSは、閲覧行動や過去のやり取り・好みに基づき、閲覧者に関連するコンテンツを瞬間に提供しようとします。この処理には、ページベースのCMSでは対応できません。コンテンツを個々のアイテムとして管理できる必要があるためです。個々のアイテムとして扱うことで、ウェブページの組み立てと組み立て直しを動的に行い、パーソナライズされた魅力的なデジタルエクスペリエンスを提供することができるのです。
AI personalization
  • セマンティックAI:このテクノロジーを用いると、コンテンツをさらに「インテリジェント化」すると同時に、検出されやすくすることが可能です。セマンティックAIは、コンテンツの自動タグ付け機能(一般に、タクソノミーを使用)でコンテンツ制作者をサポートします。これにより、コンテンツがシステム全体で一貫性をもって分類されるようになります。その一方で、検索結果の質は大幅に向上します。つまり、検索に使用される語句の精度ではなく、ユーザーの検索意図に基づき、関連するコンテンツが検出されるようになるのです。

    セマンティックAIは、ウェブCMSとCCMSの両方で使用可能です。
Semantic AI

次のステップ 

RWSは自社の柔軟性に優れた単一の企業向けCMSを通じて、コンテンツ管理の見直しを図っています。詳しくは、Tridionのページをご覧ください。 

ヘッドレスCMSについて詳しくは、当社のブログ「Headless CMS.To chop or not to chop?(ヘッドレスCMS:ヘッドをなくす?なくさない?)」をご参照ください。